歯周病菌に効く強力な抗生物質ジスロマック

ジスロマックで歯周病菌を減らす歯科治療

歯周病にもジスロマック

歯周病イラスト

歯周病という言葉はよく耳にすると思います。一概に歯周病といわれても具体的には分からない方少なくありません。平たく言うと、歯の土台の病気です。これは歳を重ねていくと100%近い確率で歯周病になってしまいます。

実際に、30代後半を迎えると95%以上だと報告が挙がっています。口の中を清潔に保つ為の歯科治療で、目的は歯周病菌の数を減らす目的で用いられます。歯周病の治療にもジスロマックが用いられ、その主成分であるアジスロマイシンが口内の病原菌の繁殖を差し止める働きがある為、最近では歯科医にて歯磨きの指導とジスロマックを併用する事を勧めているとの事です。

歯科医師が勧めるのには理由があります。歯周病の原因となるのが、歯垢(しこう)です。歯垢とは歯の表面に固く付着したよごれです。歯垢には、かなりの細菌が生息し歯に付いてから短い期間は問題無いのですが、うまく歯磨きで除去できずに放置する事でかなり強い耐性の菌が生まれてしまいます。

重い歯周病のケースで、耐性を持つ手強い細菌ジスロマックは駆逐します。重度の歯周病予防の為に歯磨きとジスロマックを併用する旨を強く患者に押しているそうです。これが万能型と言われる由縁です。歯垢をそのまま放置しておくと、複合バイオフィルム構造という強い耐性菌を持った状態を造っていまいます。歯周病は命に関わる疾患へと繋がる事もあります。


バイオフィルムって何なの?

バイオフィルムの怖さ

バイオフィルムとはプラーク(歯垢)が作る細菌の快適なマンションのようなものと考えるのが良いでしょう。歯周病の原因となる病原菌は主にこのマンションに住んでおり、細菌にとってはかなり快適な環境です。バイオフィルムの中には栄養分の水路ができており、細菌同志が調和をもって生息できるようになっていますからです。

当初のマンションは1階建てで、浮遊菌がすんでいます。しかし、熟成してプラークが厚い層になってくると、マンションは2階建て、3階建てと大きくなってきます。地上に伸びていくというよりは地下を作っていくと考えたほうがわかりやすいでしょう。浮遊菌が住んでいる1階の下に、まず地下1階がつくられそこには好気性菌が住みだします。

さらにその下に地下2階が作られ嫌気性菌が住みだします。地下2階は酸素の届かいない嫌気的な環境なので、すみつくのはPg菌、Tf菌、Td菌などの嫌気性菌です。地下2階まできたバイオフィルムは強力なバリア(障壁)となり、中に住んでいる細菌を保護します。

細菌に対する身体の免疫反応を防ぎ、それどころか細菌を攻撃するはずの免疫反応が逆に自分の体を攻撃することになってしまい、歯周病が進んでしまう事もあります。抗生物質に対しても強力なバリアとして働く為抗生物質を投与しても内部の細菌は守られ嫌気性菌をおさえこむ事ができません。

嫌気性菌を抑え込むために抗生剤の濃度をあげると、今度は逆に薬の副作用が問題になってきます。大切なのはバイオフィルムが成熟しないように環境を整える事です。

ジスロマックを使って形成を阻害!?バイオフィルムを確実に取り除くには?

バイオフィルムを構成している細菌は、ジスロマック(抗生物質)等の薬だけではなかなか取り除く事ができません。例えば、薬品なのでうがいをしても細菌は取り除く事ができません。ではどうやって取り除けばよいのかというと、今のところは一番有効な方法は機械的に取り除く事です。

機械的に取り除くとは、歯ぐきより上の場合、歯ブラシでプラークをゴシゴシ擦って取り除く事です。プラークを構成する細菌は、粘着性の物質を出して歯の表面につくので、簡単にこすったくらいではなかなか落ちません。

ゴシゴシこするといいましたが、どの程度ゴシゴシすればよいのか、本当にプラークが取り除けているかを常に自分でチェックしバイオフィルムを確実に落とす練習をする事が必要です。


歯周病放置で全身疾患を引き起こすリスク

歯周病は血液を介して全身に悪影響を及ぼします。

歯周病が口の中にダメージを与える事は理解できても、命に関わるような病気の引き金になるという危機感を持っている人はとても少ないと思います。

しかし、歯周病菌や歯周病の炎症によって産生された様々な物質は、血液のながれにのって体のすみずみまで運ばれ、重大な全身疾患の原因の一つとなったり、重症化のリスクを高めることが最近の研究によってわかってきています。

歯周病の本当の怖さは歯をうしなう事だけではなく、その影響が全身に及ぶという事です。特に関連が認められるのは、糖尿病、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞、骨粗鬆症、低体重児出産など。

歯周病によって歯を失うということや、現代社会で深刻化している認知症の発症にも深く関係しています。さらには歯周病にかかっていると、そうした全身疾患が治りにくという報告も多数あり、様々な全身の病気の治療のためにも歯周病を防ぐ事は必要といえます。

歯周病に対するジスロマックの効果

上記で説明したとおり、歯周病の原因になる歯垢の中には、さまざまな細菌が生息しており菌が付着してから短い期間内であれば歯を磨くことで除去することが可能です。しかし「放置」する事で細菌同士が複合バイオフィルム構造という耐性菌をもった状態を作り出します。

こうなるとゴシゴシ磨くだけで取り除くのは不可能です。この場合は薬の成分が行き届くまえにはねのけられるので、抗菌薬、抗生物質での治療が非常に難しくなります。しかし、ジスロマックを使えば話しは別です。

ジスロマックは感染部への集中型
(歯周病に感染している歯の周辺組織への素早い移行能力)
バイオフィルム自体の形成阻害
長い期間効果持続

数ある抗生物質の中でもジルロマックのみの特性といえるでしょう。ジスロマックはタンパク結合率が非常に低いためというのが一番の理由といえます。全身疾患を引き起こさない事を前提とししっかりケアしていきましょう。


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